2014年 10月 14日

奥多摩入門 高水三山

さて、ガイドウォーク三回目は、いよいよ登山チームの実地研修です。
今回のコースは、奥多摩の山の入門コースとして親しまれている高水三山縦走だそうです。
軍畑駅に朝9時集合。わたしは少し早く着き、同じく研修生のSさんとまったり会話しながらみなさんの到着を待ちました。

今回の講師は、青梅市山岳救助隊隊長として永らく勤務されていた、Kさんです。
多岐に渡り、現在も活躍されている方で、講習会の講義でも豊富な経験の中から貴重なお話をお聞きできました。
今回、山頂での救助実習もしてくださるとの事で、きっと勉強になると思います。
全員で準備体操をして出発です。今日は爽やかな青空に、うろこ雲が、とっても綺麗で上空はすでに秋模様でしたが、
下界は、夏を思わせるような好天で気温もぐんぐん上昇中です。


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高水山への石碑を眺めつつ、長閑な平溝の集落の中の道を登って行きます。
登山口の出発は、高源寺です。


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清らかな浅い流れの平溝川には、ミゾソバや、ツリフネソウが花盛りでした。


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古い石垣が続く坂道は、古来より高水道と呼ばれていて、高水山にある常福寺へ詣でる道でもあります。


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綺麗に積まれた、手積みの石垣の上には、こんな茅葺屋根のお宅もあって、わたし的にはツボなのです(^^)


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草の土手には、秋の花、ヤクシソウや、アキノキリンソウ、セキヤノアキチョウジなど花盛りです。


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そして、歩幅の合わない長くて急な階段を喘ぎながら登ります。今日は背中からの日差しがきつくて辛い登りです。
やっと、砂防ダムが現れ、ここからは小川と別れて杉の植林帯を登って行きます。



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朝の陽射しが射しこむと、鬱蒼とした杉木立も、にわかに明るくなり木漏れ日が清々しいです。



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常福寺への参道でもあるので、ところどころに、今、何合目と書かれた丁目石(ちょうめいせき)という石碑があります。

丁目石(ちょうめいせき)は距離の目安 で、一丁(109m)の間隔で設置していると言われています。


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杉に混じって、大きなモミやツガの巨木や、そしてカエデやコナラなどの広葉樹が現れ始めると頂上は近いです。



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頂上直下にある、常福院に到着しました。


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石段脇には、ミヤマシキミの赤い実が目を引きます。
前回の御岳山でも目にしましたが、ミヤマシキミは花と実が同時に見られ、この赤い実は春先まで残ります。


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常福院は、山寺らしい質実剛健な感じのお寺です。
四月には、こちらの境内で獅子舞が奉納されます。


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本殿、こちらは不動明王を祀っているようです。


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先日の御岳山もお犬様の山でしたが、こちらの狛犬も可愛いです。



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社務所は無人ですが、宿坊にもなっているのでしょうか。とてもいい感じの建物です。獅子舞の折には獅子宿となっていました。


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ここでトイレ休憩です。ガイドウォークでは、トイレの場所の確認は大変重要です。
しかし、登山チームの場合、トイレが設置されていない山に登ることも多々あります。
『トイレは自然な生理現象で恥ずかしいことではありません。とくに女性はトイレが心配だからと、水を控える方がいますが
かえって、足がつったり、体調を崩してバテてしまったりと思わぬアクシデントに繋がります。
トイレの無い場所では、お花摘みも仕方がないことです。その時のゴミの持ち帰りをしっかりと伝えることが大事です。』
と、先輩ガイドさんからのお話しがありました。特に、女性のお客さんは言いづらいと思うので女性ガイドが必要だとのことでした。


あと一頑張りで高水山山頂です。


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高水山の山頂は樹木に覆われていて展望はありませんが、コナラの樹がいい感じで立っています。


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晩秋にここを歩けば、葉を落とした枝先で冬鳥が囀っています。
春まだ浅い頃、ここを歩けば、エイザンスミレやナガバノスミレサイシンが目を覚まして微笑みかけます。
真夏には、ただただ暑くてバテた事を思いだします。考えてみたらその後、この山域には足を運んでいませんでした。

今回久し振りに歩いたら、とても新鮮でした。


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そして、ここから岩茸石山への縦走は、急な坂の連続です。まず岩ゴロの急坂を下ります。


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そして、木の根っこが階段状になった急坂を上り返します。



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やがて、空が開けてぽっかりと岩茸石山の山頂に出ます。
ススキが揺れて、秋の景色ですね(^^)


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雲がとっても綺麗です。清々しくて深呼吸!!


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今、越えてきた高水山が見えます。円錐形の美しい山容ですね。



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アキノキリンソウと、ガイドウォークのメンバー(^^)


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お腹がすきました。綺麗な景色を見ながらの昼食タイムです。どこで昼食を取るかということも重要なポイントです。


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一番奥に見えるのが、雲取山です。


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中央の、片側(左)が台形になっているピークが川苔山です。


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そして奥に連なるのは県境尾根の山々です。もう少し山座同定できるようになりたいです。



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お昼ご飯の後、

★K先生の救急救命実習、その一、怪我人の搬送方法。

山での救助要請で、この程度なら、救助隊を呼ばずとも、グループ内で何とか出来るだろうと思うケースがあるそうです。
足のねん挫などで歩けなくなった人を運ぶのに、ザックとレインウェア―を使った安全で即席の背負子の作り方を教えていただきました。


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レインウェアの袖をねじって



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ザックの腰ベルトに縛り付ける。


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もう片方の袖も同じように縛り付ける。


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ザックの中身を出し、下部には、丸めたレインウェア―などを入れて、怪我人が座れるようにする。

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レインウェアの裾から20㎝ぐらいの見頃に、紐を取り付ける方法。
て適当な大きさの小石を拾い、小石を包むようにレインウエアを乗せ、上からひもで縛る。
この時、巻結びという縛り方をすると、絶対に結び目が解けない。


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こうして、反対側にも紐を縛り付ける。



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先ほど、ザックに詰め込んだレインウェアなどを椅子のようにして怪我人を座らせ、ザックに括り付けたレインレアを背あてにする。


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紐を、怪我人の脇に回して、長さを調整してザックの肩紐に結び付ける。



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この時の結び方も、巻結びを使う。



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怪我人の体がぐらぐらしないように、紐の長さを調整して結びつける。


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怪我人を台や岩の上に座らせてから担ぎ上げると、背負いやすい。



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立ちあがるまでは大変だが、背負ってしまえば、とても楽に歩ける。
背負われる方も、ザックに入れた詰め物がクッションになり座りやすいし、足も締め付けられないので楽なのだそうだ。

ちょうど、赤ちゃんのオンブ紐のような役割だと思いました。


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今回、背負われたTさんは、体重40キロという小柄な女性だったので、K先生は軽々と背負っていました。
先輩ガイドのお二人も、背負ってみて、思っていたよりずっと楽に歩き回れると驚いていました。

そこで、ちょっと、わたしも背負ってみたくなり、K先生に「女性でも背負えますか?」と申し出てみました。

『おう!いいんじゃないか。やってみるのはいいことだよ。(^^)』と言われましたので、わたしは初挑戦してみました。

さすがに、立ち上がる時はずしっと肩と腰に重量がかかりましたが、手を貸して貰い、何とか踏ん張って立てました。
いったん、立ち上がってしまえば、それほど重量を感じずに歩き回れました。
40キロって、意外と背負えると実感しました。


★K先生の救急救命実習、その二、登山靴を使ったテーピング方法。

山の怪我で、良く起こるのがねん挫や骨折だそうです。
足首のねん挫や骨折なら、三角布で固定することで、応急処置でき、自力でも歩けるようになるのだそうです。

まず、三角筋を靴の下に通し、踵でクロスさせます。

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それを、前に持ってきて、きつく縛ります。


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次に、縛った布端を、最初に靴の下から踵に回した、左右の布に通して、もう一度前でギュッと引っ張ります。


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これで、登山靴がギブスとなるので、ねん挫ぐらいなら誰かの肩を借りれば自力で歩くことも可能だそうです。



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★Kさんの救急救命実習、その三、腕の怪我の三角布の使い方

腕の骨折や怪我には、三角布を、前から肩と脇を通して、背中で縛ります。

袋になった部分に腕を通し、添え木に、枝もしくは、敷物のウレタンマットなどを入れ、調整します。

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『このように、軽度の怪我の場合、山岳会などで大勢の仲間がいるなら、救助要請をしなくても何とか自力で下山することもできます。
まずは、救助要請する前に、自分たちの力で、できるかどうか考えてみて欲しい。
みなさんもガイドを目指すからには、この程度の救助方法はマスターして、ガイドとしての自覚とプライドを持って臨んで欲しいと思います。』
と、講習が終ったあと、K先生がおっしゃいました。

ガイドとしての自覚とプライド・・・本当に大切ですね。生半可な気持ちではできないと改めて感じました。


他にもいろいろな方法があるそうですが、今日の所はこれで臨時講習は終わりました。
大変勉強になりましたし、いい経験が出来ました。そして、もっと、様々な事を知りたいと思いました。

出発前、もう一度景色を眺めると、手前の木が少し黄葉し始めていました。

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山萩の花も今が盛りですね。零れるように咲いていました。


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岩茸石山からはいったん下って鞍部にでます。実はこの場所で滑落死亡事故が起きたと、K先生からお話がありました。

その場所は鞍部になっていて、尾根も広く道も明瞭です。標高も700m足らず、誰もがこんな場所で?と思いました。


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数十人のツアーで来ていて、一人の男性がバテてしまい、他の人が岩茸石山に向かうのをこの場所で待っていたそうです。
他の人が登頂を澄ませ戻ってみると姿が見えません。いくら探しても見つからず捜索願が出されました。
山岳救助隊は、この写真で右側の急な斜面を降りてみると、途中に帽子が落ちていて、さらにその下は
沢まで急峻な崖になっていて、数日後、男性はその沢で遺体となって見つかったそうです。

たった700mの低山であっても、奥多摩にはいきなり切り立った崖になっている場所が良くあるそうです。
どんなに安全そうに見える場所であっても、ツアー客を一人にしてはいけないという教訓だと思います。
また、もし道に迷っても、沢に降りることは命取りになるという事が良く判りました。
道に迷ったと思ったら、元の場所へ戻ること、もし戻れなくても尾根に出ることが大切なのだと思います。


岩茸石山の由来になった、"岩茸石"です。この大岩の裏側に、びっしりと岩茸が生えていたのだそうです。
この裏側は、急な崖になっているので、本当に岩茸が生えているかどうかは確認できません。


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途中の見晴らしが良い尾根からは、高水山と、岩茸石山が並んで見えました。
こちらが岩茸石山です。


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またまた、木の根や岩を乗り越えていくような道を登り、最後のピーク、惣岳山に向かいます。


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そして、惣岳山の青渭神社に着きました。大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀っているそうです。
こちらもはっきりしたピークも展望もありませんが、この神社がある場所が山頂のようです。


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これで高水三山を走破したことになります。入門コースと言えど、出だしの急登といい数々のアップダウンといい
なかなか骨のある入門コースなんじゃないかと思います。

ここからは杉木立ちの森を下って行きます。


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途中、しめ縄を渡した木があり、その根元には小さな社がありました。


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このあたりには真名井という、ご神水があるそうですが、きっとここがそうなのだと思います。
井戸には水がありましたが、ちょっと淀んで濁っているので飲めそうもありませんでした。


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林床には、秋の花々がちらほらと咲いていました。

カシワバハグマ


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アキノキリンソウ


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シロヨメナが咲き出しました。

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ここで、御岳駅方面、沢井駅方面、への分岐があります。
わたしたちは、沢井方面へと下ることになりました。


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とても立派な巨樹がありましたが、樹皮や葉を確認する暇がなくて樹種の同定はできませんでした。
やはり、一人で森を歩く時は心行くまで観察したり、写真を撮ったりできるのですが、ガイドウォークでは難しいです。

写真ってやっぱり集中力だと思います。ただ映しているだけの写真は、アングルもなにもあったものではありません。
ガイドウォークの時には、写真なんて撮ってる暇はないだろうし、せめてコンデジにしなければいけないかもと思っています。
でも、どこに行くのも一緒。わたしの体の一部になってるEOSkissデジ、家においていくのが忍びないなぁ…(笑)



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コアジサイの深緑の葉が、遅い午後の陽射しに輝いて綺麗です。


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この辺りは、立派な巨木ばかりです。神社のご神木なのでしょう。


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多分、ヒノキだと思います。


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しめつりのご神木と書かれた立札があります。
しめ縄が張ってありました。ここまでが神さまの森で、このしめ縄は神域と俗世の境界なのだそうです。

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さて、ご神木を後にして、まっすぐに整備された植林帯の道をずんずん下って行くと、ぽっかりと里へ出ました。


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ニシキギの赤が一際目を引きます。


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青渭神社の里宮の青銅製の大きな鳥居の前で、解散となりました。
コスモス揺れる線路わきの道

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ススキの穂が揺れる秋の野道と鉄路がいいですね。



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わたしたち有志は、沢井駅から酒造さわのいの脇の坂道を下り、多摩川に出て、さわのいガーデンでK先生を囲んで懇親会となりました。

川音絶え間ない楓橋、いつもなら、写真を撮りに行きたいところですが、じっと我慢しました(笑)

回を重ねる毎に、大変有意義な時間を過ごすことが出来て、講師のK先生や先輩ガイドのみなさん、
そして、やる気満々の研修生の同朋のみなさんに感謝しながら帰路に付きました。
みなさん、今回も大変お世話になり、ありがとうございました。(*^_^*)




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by kazematikado | 2014-10-14 18:41 | 山と森 | Comments(2)
Commented by at 2014-10-16 16:55 x
毎回盛りだくさんな実習で充実しているのでは?
高水三山は以前に登ったことがあるので、懐かしく画像を拝見
してます。結構キツくって、下山はヘロヘロでしたけどね。
そうですよね、ガイドとなればいざというときの備えで救急救命
のノウハウも必要でしょう。それだけ責任感の必要な仕事だと
思いますよ。で、ガイドデビューはいつ頃でしょう?

Commented by sizuku at 2014-10-17 00:15 x
翼さん、コメントありがとうございます。
はい、毎回、いろいろな事を学ばせていただいています。
そして、ガイドの責任感もひしひしと感じています。
先日、最後の研修も終わり、10月末に採用結果が出ます。
採用が決まれば、今度はガイドの見習い期間となります。
実際にお客さんをガイドする現場に同行させてもらい、そのノウハウを学びます。
11月から3月までの4か月あまり、積極的に同行させていただき、
自分のスキルアップに努めたいと思います。
そして、来年4月より、本採用となり、ガイドとしての第一歩を踏み出します。
まだ先は長いですが、幸い同期のみなさんは、大変積極的で意欲的な方々なので、沢山刺激をいただきながら楽しくやっています。

ガイドデビューした暁には、ぜひご案内させてくださいネ(^^)


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