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風街角

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2015年 02月 05日

遠野に行きたしと思えど…

 ふらんすへ行きたしと思へども
 ふらんすはあまりに遠し
 せめては新しき背広をきて
 きままなる旅にいでてみん。

 汽車が山道をゆくとき
 みづいろの窓によりかかりて
 われひとりうれしきことをおもはむ

 五月の朝のしののめ
 うら若草のもえいづる心まかせに。


萩原朔太郎の「旅上」というこの詩を思い出していました。


こちらは、朝から湿った雪がちらついています。
これから積もるのでしょうか?

遠野に行きたいな…と思いました。
花巻にも行きたいな…と
小雪の朝を迎えて、今朝、唐突に思いました。

せわしない日々に、何か忘れ物をしているみたいで、...
いろいろお出かけもしてるけれど、何かが見つからなくて

ひとりで、思い立って、列車に飛び乗れたらどんなに素敵だろう
雪深い、語り部の里に行ってみたいな。
しんしんと降る雪を、車窓の友として…



遠野に行きたしと思えど…_b0246693_09435620.jpg



朔太郎の詩は、5月を詩っています。
彼の詩作ノートでは、最初、『五月』と題された2行の詩でした。
その2行は、『旅上』の詩の最後の2行。

 「五月の朝のしののめ
  うら若草のもえいづる心まかせに。」 だったそうです。

わたしも、この2行がとても好きです。
朔太郎は、「ふらんす」という言葉を使っていますが、書きたかったのは
旅への永遠の憧れだったのかもしれません。




by kazematikado | 2015-02-05 09:44 | 日々の事


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