2015年 06月 10日
11月のある日、女子会のご案内で青梅の街を歩いていて、駅に続く坂道の途中で足を止めました。 「あら?いつの間に…?」と思わずつぶやいたわたし。 それほどのインパクトで、コインパーキングの隣に、古ぼけた一軒のお店が建っていたのでした。 以前はどんなだったかしら?と思い出そうとしましたが、わたしの記憶の中には存在していませんでした。 だけど、すごく気になって、みんなに待っていてもらい表に回ってみました。 「わぁ~!!なんだろう…すごく不思議…!!」それが、カフェころんの最初の印象でした。 それは、以前偶然見つけた素敵なカフェ“ねじまき雲”に出逢った時と少し似ている気がしました。 いまはねじまき雲さんは、国分寺に移転され青梅のお店は不定期にしか開かれないので残念に思っていたので 凄くワクワクしたのでした。(でも似て異なるものだと言う事は後から判るのですが) この時の、何とも言えない胸の高鳴りは、インスピレーションだったのですね!! その後、初めて、カフェころんの扉を開けたのは、東京で一人暮らしをしていた咲絵ちゃんが 群馬の実家に帰ることになり、東京の思い出にと、二度目の青梅に訪ねて来てくれた時の事でした。 12月10日、青梅の散策が終り夕暮れが迫る頃、「気になるお店があるの、一緒に行ってくれる?」と 咲絵ちゃんを誘いました。『はい!!連れて行ってください♪』と即答してくれた咲絵ちゃん。 ガラガラガラ…クリスマスの飾り付けを施した引き戸を開けて、ころんの不思議な空間に一緒に 足を踏み入れたのでした。 お部屋の中では、赤々とペレットストーブが燃えていてとっても暖か、 お子さんたちと若いお母さんたちが寛いでいる、なんともほのぼのとした空間でした。 わたしたちは、木の温もりを感じるようなテーブルに座り、メニューを眺めました。 「あら?珈琲はねじまき雲さん焙煎。それにシフォンケーキはちゃんちき堂さんのだわ。」 偶然、知っていた二つのお店の名前が書かれていて、どちらもとても好きなお店だったので 何だか不思議な縁を感じたのでした。 このオブジェ、とても魅かれました。 この時はまだ気づいていないのですが、ここは、ちゃんちき堂さんがオーナーで、青梅で自営のお店を持ちたい と考えている若い人たちを応援するために、まずはその場所を格安のレンタル料で提供するレンタルカフェだったのです。 この扉の向こうは、ちゃんちき堂さんのシフォンケーキを焼く秘密工場だったのです。 そして、気になったこの壁掛けは、廃屋だった古民家をリノベーションして、カフェころんを作り上げた 仲間たちのお名前を記したものだったようです。 後から知ったのですが、廃屋だった古民家を最初に見つけ、何故かすごく気になったちゃんちき堂さんと 青梅の街をなんとか元気にしたいと思っていた大家さんとの出逢いは、運命的だと思えるものだったそうです。 そして青梅の街に、夢があっておおらかで暖かな温もりを感じるような建物やオブジェを提供し続けて来られた 建築家のマッキーさんとの出逢いによって、ちゃんちき堂さんの夢が形になって走り出した事、 その想いに賛同した仲間たちが集まって来て、力を合わせ自分たちの手で、一からお店を作って行った物語は とても夢があって、さわやかな感動に溢れるものでした。 そんな大勢の人たちの想いが詰まっていたからこそ、初めて見た時、何とも言えないワクワク感と共に 一目でわたしを惹きつけたのじゃないかと思うのでした。本当に素敵なお店に出逢えて嬉しかったです。 どこか懐かしくてとっても居心地良い空間に、咲絵ちゃんと寛いでしまって日暮れ時まで居てしまいました。 その時、奥の引き戸を開けて現れたとても存在感ある人がいました。その方がマッキーさんだった事に、 まだ知る由もないわたしでした。 次にわたしが、ころんを訪れた日、年が明けた1月16日の事でした。 いつものように古い青梅の街中や森の際や川のほとりを歩いて裏通りなんかも縦横無尽に歩きまわって ころんの前で足を止めました。大岳山の上に低く鉛色の雪雲がたなびいている風の冷たい日でした。 本日のカフェころんは『のんびりPAKA』の営業日です。と表の黒板に書かれていました。 この間は『ててぽん』さんだったので、お店が日替わりであることを実感したのでした。 相変わらず、不思議な鉄のオブジェが迎えてくれていました。 赤錆色に錆びた鉄…なんとなくずーっと昔見たような気がして懐かしい気持ちになりました。 ガラガラガラ…今回も引き戸は、古い記憶を呼び覚ますような音を立てます。 何となく子どもの頃の実家の家に帰って来たような懐かしさが蘇ります。 ステンドグラスの窓から、教会の窓みたいに優しい光が洩れています。 一番奥にある、足踏みミシンを机にした席が妙に気になります。古い扇風機に蝋燭の燭台みたいなオブジェ。 出窓になった大きな窓…なんとなく秘密の香りがするのでした。 そして、木製の大きな飾り棚には、素敵なガラス細工のアクセサリーや雑貨が飾られていました。 「あ、やっぱりミナモさんのアクセサリーだ」と、そう思いました。 ちょうど道路を挟んで、ころんの斜め向かいにある、まるで海の底を思わせるステンドグラスのお店です。 いつも素敵だなとショーウィンドーを眺めていました。 あら?…ここにも、マッキーさんのお名前が… ころんをリフォームする時に出た、昔のすりガラスや曇りガラスで作ったアクセサリーって素敵です。 洗練された美しいオブジェや可愛いアクセサリーが並んでいます。 そして、テーブルに置かれた“カフェころんができるまでの物語”という冊子を手に取りページをめくります。 目の前のカウンター席に座っているのは、確かこの間の存在感のある人でした。 物語を読み進むうちに、その中の写真に写っているマッキーさんが、なんとなく目の前にいらっしゃる人と 似ているような気がします。お料理を運んで来てくれた女性に聞いてみると、果たしてマッキーさんでした。 その女性が、マッキーさんに耳打ちしてくださり、マッキーさんが振り向かれ会釈されました。 穏やかな微笑をたたえた方で、初対面なのに何故か緊張させないオーラを持っている方でした。 わたしは、ころんをリフォームした時のお話しを伺ったりしました。少し談笑したあと、 『そちらへ行っても良いですか?』とマッキーさんが珈琲を持って隣の席に来てくださいました。 マッキーさんにお逢い出来るなんて夢にも思っていなかったので、その幸運が不思議でたまりませんでした。 マッキーさんは、ログハウスを勉強するために単身アメリカに渡ったお話し、奥多摩にログの学校を作るつもり だったお話し、青梅にはマッキーさんが手がけた建物やオブジェがあることなど教えてくださいました。 その中には、わたしが気になっていたネコのバス停の電話ボックスと太陽の塔のオブジェや、MINAMOさんや ガチャ萬本舗さんの建物も含まれていると知って感激したのでした。 そして、後から知ったのですがあのにゃにゃ曲がりもマッキーさんが作ったのですって!! 知らずにお友だちを何度も案内していたわたし。マッキーさんが作り出した世界で遊ばせてもらっていたのです。 わたしは、青梅の街が好きで良く散策すること、そしてころんを見つけた事、山が好きで山歩きをする事など お話ししました。話が、ころんの裏庭に作るというツリーハウスの事に及んだ時、マッキーさんはにこやかに 『大人が面白がって遊んでいるんですよ。もうじき始まると思うので良かったら遊びに来てください。』と 言ってくださいました。そして成木で林業を一生懸命やっている若者がいて森づくりをしようと思っている事も お話しされ『山が好きな方でしたら、一緒に森の仲間になってくれませんか。』と言ってくださいました。 わたしは、自分に果たして出来るだろうか?と思いつつも、お誘いいただいたことがとても嬉しくて、 いつのまにかマッキーさんとお話しさせていただく事が出来た巡り合せの妙にときめいたのでした。 そして、その後、カフェころんのオーナーである哲さんとも親しくお話しさせていただけるようになり、 ツリーハウス作りに懸ける哲さんの夢と情熱に深く心を動かされ、その夢の端っこで何かお手伝い出したい。 そう思うようになりました。これがわたしがツリーハウスプロジェクトに参加する事になったきっかけでした。 こんな不思議な出逢いをもたらせてくれたカフェころんって本当に素敵なお店です。 《続きます》
by kazematikado
| 2015-06-10 02:15
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