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風街角

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2016年 11月 16日

会津駒慕情 その1

三年前の秋、若草女子会で登った会津駒ヶ岳、念願だった錦秋の山に登ることが出来ました。
ひとりでは、恐らく無理だろうと諦めていた山に登れたのは若草女子会のみんなの友情のお蔭でした。
ランプの灯影が優しく灯る山小屋の夜「本当に来れた。みんな、ありがとう。」
ひしひしと感動が湧き上がり、涙したのがついこの間のような気がします。

『大丈夫、また来れるよ!!来年はハクサンコザクラが咲く頃に登ってきてね。』そう言ってくれた
駒の姉さまの言葉どおり、昨年も一昨年も、わたしたち若草女子会の娘のような存在のオジーと、
かなちゃんのサポートで可憐な花咲く稜線へと行けました。
ひだまりちゃん、よしころんちゃん、はるかちゃん、おじー、かなちゃん、わたしの山行は、
いつも仲間に見守られていました。

そして、今年も…
『ねえちゃま、今年も会駒に行くよ!!』と、頼もしいはるかちゃんの言葉が背中を押してくれました。
本当はハクサンコザクラ咲く季節に登る予定でしたが、わたしのガイド山行が重なったため行けませんでした。
そこで、9月27日~28日で登ることになりました。季節は初めて訪れた日と同じ秋です。
また、あの稜線に立てる。また、あの懐かしい駒の小屋の兄さま姉さまに逢える。そう思っただけで
わたしのこころは、喜びに震えるのでした。年に一度の駒詣、夢じゃないんだ~♪

前日南会津のひだまりちゃん宅に泊めていただき、美味しい夕食に、温かいお布団でゆっくりと
休ませていただき、翌朝は朝食を用意してもらい、一緒にお昼のおにぎりも握って出発です。
今回は3人での挑戦ですが、合言葉は“会駒いくよ!”ホントに素敵な妹たち、こころからありがとう。

随分、時季を外してしまいましたが、錦秋一歩手前の会津駒ケ岳から…
わたしたちの友情の物語を綴らせていただきます。よろしければ、お付き合いください。

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夕べはぐっすりと眠れて、スタミナばっちり充電しました。ひだまりちゃん宅前の大銀杏に見送られ
澄み切った朝の空気と黄金色の稲穂が続く田園風景の中をひだまり号は颯爽と走ります。

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ほとんど車の通っていない道を快適に飛ばします。朝靄の立ち込めた田んぼや、小川のせせらぎ
車窓に広がる長閑な風景に心躍らせながら…山も良いけど、こんな里山を歩いてみたいと思うのでした。


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滝沢登山口は、もう車がいっぱいでしたが、何とか1台止めるスペースを見つけて停車しました。
ひだまりちゃんさすがです!そうそう林道入り口では、ひだまりちゃんの知り合いの方にお逢いしました。
とっても穏やかな話し方をする地元のお父さん。子どもの頃、小学校1年生で会津駒初登頂を果たしたと伺いました。
地元の方はみなさん、登っている山なんですね。それにしても小学1年生で初登頂とは恐るべし!!


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真っ青に晴れ渡った空一面に、秋のうろこ雲が広がって、絶好の登山日和です。
さすが、最強晴れ女軍団(笑)、若草女子会の登山ですね♪


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いつも出迎えてくれる、登山口の大きなミズナラの樹。一年ぶりだね~♪元気そうだね。ってご挨拶。
行ってくるね!無事行って来れるよう見守っていてね(^^)と話しかければ、枝を風に震わせて
見送ってくれたような気がしました。


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急階段を上りきれば、もうそこは山の領域、結界を越えたら空気も変わる気もします。
気の抜けない急な登りがすぐさま始まるけれど、アキノキリンソウが楚々と咲いていてくれました。



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直に、登山道に立つミズナラの巨樹に出逢えます。幹には古傷が残るけれど、まだまだ元気です。
立派なミズナラ。わたしたちはその幹に触れ、挨拶を交わしました。
「今年も、また逢えたね!元気で嬉しいよ!」と。


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梢を見上げれば、『よく来たな!しっかり登って行きなさい。』と答えてくれたような気がします。



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森の中にはキノコがいっぱい。辛い登りも癒されます。



イグチかなぁ?



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わぁ!かわいいタマゴタケ!! 



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ブナハリタケ、食べられるキノコだそうです。



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苔の中にも、きのこの山みたいなキノコがいっぱい!



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縞縞模様が木の年輪みたいなキノコです。


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色付きはじめた葉は、ミツデカエデの葉っぱかな?



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緑の葉影から、コブシの赤い実、秋ですね。



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喘ぎつつ登る足元に、見上げた梢に、小さな秋を探しつつ、わたしたちは進みます。



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いち早く染まり始めたヤマウルシの紅葉が美しいです。



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森の向こうに、金色に輝く草原と、蒼くたゆたう山並みと


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見上げれば、ブナの大木はほんのりと色付きはじめていました。


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おや?カナヘビくん、おはよう♪


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おやおや、アズマヒキガエル君、おはよう!! そんなにじっとしてたら踏まれてしまうよ。


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急登を登り続けてやっと水場に着きました。ここまでくれば、今日の行程の半分です。
汗をぬぐってベンチに腰を下ろせば、ミネカエデは、今日一番の美しい黄葉で迎えてくれました。


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青空に輝くような見事な黄葉!!



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この辺りはブナの高木も多くて、もう少ししたら美しい黄葉に包まれることでしょう。
水を汲み、ここでお昼にしましょう。朝作って来た五穀米のおにぎりをほうばります。おいしい!!
ひだまりちゃんが持ってきてくれた燻製卵がまた、美味しい!!甘酸っぱいマスカットのデザート付~♪



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ゆっくり休憩を取って出発です。早い登山者たちに追い越されるけれど、わたしたちはマイペースです。
今日は駒の小屋まで着けばいい。季節を拾いながらゆっくり行きましょう!!
ほら、早速、ツルリンドウが咲いていてくれました。


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ツクバネソウも、漆黒の実に真っ赤なガクが美しい。追羽根のようでもあるけれど
わたしにはピエロのようにも見えるのです。ささやぶの奥にただ一輪残っていてくれました。



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マイズルソウのルビーのような赤い実に、午後の陽射しが透過しました。
この季節、尾瀬の森を歩けば必ず、ゴゼンタチバナとマイヅルソウとユキザサとタケシマランの
赤い実が、ずっと足元でささやいてくれていました。夕日と戯れてる姿が一番好きだったよ(^^)


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夏のような強い陽射しを受けながら、延々と続く石畳の九十九折の階段を登って行きます。
時折り、木立ちが抜ける場所があり、日光連山が青い山並みとなって見渡せます。
ぴょこんと、一際高く聳えているのが日光白根山です。確か一番左奥が男体山かなぁ?



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夏雲のように湧き上がる白い雲の峰、いいお天気だけれど夕方ごろ変わるかも?


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やっと階段が終り、木道が現れます。周りのクマザサが綺麗に刈られています。
駒の兄さまと、今季助っ人でお手伝いに入っている山ピー君が刈ってくれたのだそうです。
写真が上手で、料理が上手で、顎鬚をたくわえた、まるでクマさんのように朴訥な青年らしい。
会ってみたかったけれど、今日はお休みで尾瀬に戻っているそうです。残念だけれど、
山ピーくん、笹を刈ってくれてありがとうございます。歩きやすかったですよ(^^)


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そして、遂に森林限界に出ました!!遠くに小さく駒の小屋が見えます。
ここのベンチは、『良く頑張ったね。さぁゆくり休んで行きなさい!』と誘います。
もちろん、わたしたちはその誘いに乗って、いつもゆ~っくりさせてもらいます(笑)
草原を吹き上げてくる風が何とも気持ちいいんですよね(^^)


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大きな声で呼んだら届きそうな気がする駒の小屋、もうじき懐かしい人たちに逢えます。



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そして、駒の小屋から続くクマザサの緑に覆われた稜線は、会津駒ケ岳です。
緑の森を形成しているオオシラビソが、ジオラマに植えられたおもちゃの樹のように見えます。


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色付きはじめた黄金色の草紅葉の稜線。陽射しが谷間をゆらゆらと流れていきます。


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いち早く真っ赤に色づいたのはドウダンツツジの樹でしょう。



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そして、真っ赤に色づいたオオカメノキが見事です(^^)



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雄大で美しい箱庭のような景観を眺め佇む友、想いはきっと同じだね。



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夏に見ると青空を映して青い瞳のように見える池塘。今日はグレイな瞳でした。


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草紅葉の湿原に伸びる朽ちた木道を美しいと感じます。


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風雪に耐え、ここに在り続ける。もう、風景の一部となって…



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白くすがれたイワショウブの花穂、枯れてなお、美しい…

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友の姿も景色に溶け込んでいます。
九州から、たった一人で移り住み、長年尾瀬と共に生きて尾瀬の住人となった人だから…


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駒の小屋がだいぶ近づきました。もうすぐ、姉さま、兄さまに逢える!!と思うと嬉しくって(^^)
友の顏に笑みがこぼれます。


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朝、出逢った女性が、もう下山されていました。『どちらまで行って来られたんですか?』
『中門岳へは行かずに、会津駒だけで降りてきました。今夜はお泊りですか?』
『はい、今夜は小屋泊まりなんですよ。』『いいですね~♪星が見えると良いですね~』
こんな風に… 今日、ここに登って来て二度もすれ違ったのも何かのご縁でしょう。
もう二度とは合いまみえない旅人たち、それでも笑顔で言葉を交わせば、その一瞬を共有できるのです。



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この辺りから、美しい双耳峰の燧ケ岳が見渡せます。わたしたちは思わず立ち止まって見つめます。



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もう少しなのに余りの美しさに、わたしたちは何度も振り返りつつ心に刻みつつ登りました。



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金色の草原を行くふたり…



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ラストスパート、あと一息です。



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日光白根が見えます。



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駒の大池に着きました。風もなく美しい湖面は、澄み渡っていました。



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着きました!!駒の小屋グッツたちです。



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ランプの宿です。素敵です(^^) ランプたちは夕暮れの出番を待っているかのよう。



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駒の兄さまに、お久しぶりですのご挨拶。
姉さまは?と聞くと、クマザサを刈ったあとの後片づけに行かれてるとの事、
登山者の安全を第一に考える。小屋番さんの鏡のようなご夫婦です。
このお二人に逢うために、登って来る方も多々あるのです。

さて、小屋前のベンチでコーヒータイムです。
ひだまりちゃんが作ってくれたかぼちゃのプリンが美味しいです。


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夕飯までには間があるので、二人は小屋で休んでいると言うので、一人で木道散歩です。
湿原に漂う夕霧が、何とも風情があります。



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厚い霧のベールの中から、時折遠くの山並みが浮かびました(^^)


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チングルマの花も白い種になって揺れていました。


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色付く葉も美しいです。


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クロマメノキの紅葉だと思います。あの濃紺の実はもうありませんでしたけれど。



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時折り、澄んだ青空が覗いたと思うと、直ぐに濃い霧に閉ざされてしまいます。


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一人、霧の中で作業しているのは駒の姉さまです。わたしは声をかけようとして止めました。
木道に刈った笹が被っていると滑って危険だと、綺麗に掃除してくださっているのでした。
頭が下がります。わたしはしばらく彼女の後姿を見つめていました。


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白い生き物のように這う霧は、幻想的な美しさを魅せてくれました。


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幻日のような太陽が覗きました。


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すると、霧が晴れて行きました。


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草の穂が風に揺れていました。



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なんの花殻でしょう?



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イワショウブ



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ネバリノギランは、葉が美しいオレンジ色に色付いて美しいです。


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姉さまが、仕事を終えて戻って来ました。「さゆりちゃん~!!」と手を振れば。
『しずく姉さん!?』と、元気な声が返ってきます。
「さゆりちゃん、おひさしぶり、やっとさゆりちゃんに逢いに来れたよ!」
『うん!うん!毎年来てくれてありがとう!今年も逢えて嬉しい!元気でしたか?』
くりくりとした明るい瞳でじっと見つめてくれる、彼女の笑顔が大好きだったことに気づきます。
まるでついこの間逢っていたような、そんな会話を交わしつつ、肩を並べて駒の小屋に戻ります。



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そろそろ夕飯の支度をしなければね。




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いつしか霧は晴れて行きました。静かに暮れて行こうとしている駒の小屋。
わたしはしみじみと眺めて、胸がまたキュンとしました。会津駒慕情…

その2に続きます。



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by kazematikado | 2016-11-16 02:23 | 女子会


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