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風街角

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2014年 09月 07日

風立ちぬ秋

みなさま、しばらくお休みをいただきましたが、また、綴って行けたらと思っています。

約1ヶ月足らずの事なのですが、随分長く休んでいたような気がして、何から書いていこうかと迷っています。

いつの間にか、朝晩涼やかになり、夜には虫の音が聞かれるようになりました。
毎年楽しみにしていた晩夏の花に出逢えぬまま、季節は移ろい風立ちぬ秋となりました。
先日、はたと気が付きましたが、サルスベリの線香花火のような花びらが、黒い地面に零れるように散っていました。


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『百日、紅いとかいて、百日紅(ひゃくじっこう)サルスベリとも読むのだよ。』と、
在りし日の父が、中校生だった頃のわたしに教えてくれた言葉を思い出しました。
(今なら、白いサルスベリもあることを知っていますが…)
サルスベリと言えば、鎌倉の長谷寺の境内にあった大きな樹や、飯能の能仁寺の巨木や、
名栗の鳥居観音の境内にある美しい樹形の樹など思い浮かびます。
この秩父茶屋のサルスベリの樹もそうでした。

すべすべとした滑らかで何処か艶めかしい樹肌と、しなやかに揺れる花房のふわっと驚くほど柔らかな花びらに触れた時、
なんとなくハッとさせられ父の言葉を思い出させました。
父の面影や声までも、はっきりと蘇る気がして、父の心に触れたようなそんな気持ちになるのでした。


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「お父さん、こんな時、あなたならどうしたでしょう?どんな言葉をかけてくれるのでしょうか?」
尋ねたくとも、もうあなたは居なくて、想像の中できっと、あなたならこうしたはずと考えるのでした。
父だけでなく、亡き母も同じです。きっと母なら、溢れるほどの慈愛で家族を守り、愛し抜いたことでしょう。

いつかわたしも在りし日の父母と同じ年代にと、歳を重ねていく事でしょう。
そして、わたしは、自分の子どもたちにどれだけの言葉や想いを残せるのでしょうか?
それは判らないけれど、一生懸命生きた証を残したいと思ったのでした。

風立ちぬ秋、サルスベリの思い出に寄せて…




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by kazematikado | 2014-09-07 00:13 | 日々の事


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