人気ブログランキング | 話題のタグを見る

風街角

sion920.exblog.jp
ブログトップ
2016年 11月 19日

会津駒慕情 その2

駒の小屋での楽しみの一つは、満天の星空です。
真夜中に起き出して小屋の外に出れば、漆黒の夜空に無数の星が散りばめられています。
山頂から眺める星空は天空から自分の足下の大地の遙か下まで大パノラマで広がっているのです。
じっと見上げ、そして見下ろしていると無窮の天空が弧を描いているように感じます。
吸い込まれるような星明りは、瞬きながら、チラチラとさんざめく…
無音のはずなのに、星々のささやく声が聞こえるような気がするんです。

時おり長い尾を引いて流星が流れていきます。
“あっ…” 思わず吐息のようにつぶやいてしあわせな気持ちが胸いっぱいに広がります。
星降る夜に願いを込めて…闘病中の友がどうか、どうか、回復しますように。



会津駒慕情 その2_b0246693_11350973.jpg

この星空を見ていると、いつもこの歌を口づさみたくなるんです。

https://youtu.be/he6uTLQQkFc

冬の星座

木枯らし途絶えて さゆる空より
地上に降り敷く くすしき光よ
ものみないこえる しじまの中に
きらめき揺れつつ 星座はめぐる

ほのぼの明かりて 流るる銀河
オリオン舞いたち スバルはさざめく
無窮をゆびさす 北斗の針と
きらめき揺れつつ 星座はめぐる


https://youtu.be/HHNEhT2Ckck

星めぐりの歌

あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。

大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。





夕暮れ時に霧は晴れましたが、雲が暑く夕焼けは望めませんでした。
今夜の星空はどうだろう?と思っていると、駒の兄さまが、夜遅くに晴れそうだと言います。
『真夜中に、誰かがトイレに起きたら、きっと星が綺麗だよと言うから、そしたら外に出ればいいよ。』と、
秋田から来たという女性二人に話してました。『なるほど~♪』と彼女たちがうなづきます。
駒の兄さまは、ほんと、楽しい人です(^_-)
夏ならば外で夕飯の支度をするのですが、結構冷え込んでいるので今日は小屋の中で調理します。
一緒に居合わせた人たちと楽しい夕餉を囲み、語り合いました。

会津駒慕情 その2_b0246693_11332514.jpg
今夜の私たちのメニューは、昨年、かなちゃんが考えてくれた“餃子鍋”と”チーズフォンデュ”
かなちゃん、ありがとうね。オシャレなメニューに、みなさん、驚いていました。
今回、食材はみんなはるかちゃんが調達して、刻んでおいてくれました。
はるかちゃん、ありがとうね。ほんと、美味しかった~!!

会津駒慕情 その2_b0246693_11304431.jpg

お腹いっぱい食べて、ちょっぴりお酒も飲んで、楽しい語らいの内に山小屋の夜は更けていきます。
一緒に楽しんでくださる駒の姉さま、兄さまのおもてなしの心が、みんなを惹きつけてやまないのだと思います。
おふたりの真心は、この山小屋に灯るランプの明かりのようでもありました。



会津駒慕情 その2_b0246693_11333417.jpg

さて、真夜中に目を覚ましたのはわたしでした。今夜は女子部屋は満席です。
部屋の中は漆黒の闇、ライトを付けるのもはばかられるし、でも誰かの頭を踏んづけたら大変です。
迷っていたら、『姉ちゃま、こっちだよ。』とはるかちゃんを起こしてしまいました。
そして、外へ出てみたら満点の星☆、部屋に戻って「星が綺麗だよ!!」と言ったら、
みなさんむくっと起き出しました。ほんとだ、兄さまの言葉通りでした(笑)


会津駒慕情 その2_b0246693_11354645.jpg


みなさん、空を見上げて歓声をあげます。『あっ!星が流れた!!』
『あっ!またひとつ!!』 『すごい!7つ目だよ!!』
そう、空のあちらこちらで流れ星が見れました。

星空撮影は、夕食の時、ひだまりちゃんに教えてもらいました。
三脚もないのに、上手に石ころを置いて撮る方法も教えてくれました。
ありがとう、ひだまりちゃん!!お蔭でわたしにも駒の大池に映る星影が撮れました。

天の川(最初の写真)も、オリオンのベルト(☆☆☆)も撮れました(*^_^*)


会津駒慕情 その2_b0246693_11360276.jpg


そして、また、布団にもぐりこんで、再び、起き出しました。
東の空がだいぶ明るんできました。



会津駒慕情 その2_b0246693_11370241.jpg


たなびく雲が、柔らかな、柔らかな色合いに…水面にも微かなさざ波が立ちました。


会津駒慕情 その2_b0246693_11375782.jpg


東の空が茜色に染まり、そろそろ、生まれたての金色の太陽が顔を出しそうになった頃


会津駒慕情 その2_b0246693_11380798.jpg


にわかに雲が厚くなり、深い霧が出てきました。



会津駒慕情 その2_b0246693_11381689.jpg


会津駒慕情 その2_b0246693_11392847.jpg


雲海の上にも厚く垂れこめた雲があります。


会津駒慕情 その2_b0246693_11393409.jpg



『う~ん。。。今日は日の出は無理だな。』居合わせた人たちは小屋に戻っていかれました。


会津駒慕情 その2_b0246693_11400692.jpg



諦めきれなくてと言うか、この甘い色合いの霧の朝も好きだなぁと眺めていました。
こんな色の夜明けは、いつか尾瀬で見たことがありました。
あれは確か残雪の尾瀬ヶ原、光の川のように流れる下の大堀川の傍らで、燧ケ岳の肩から昇る朝日を見ていました。
尾瀬ヶ原を包む霧の粒子に暖かな太陽の光が取り込まれ内包したように淡く柔らかなバラ色に染まりました。

下の大堀川に並ぶ白樺も、清らかな流れの中で咲き始めた水芭蕉もまどろんでいるようだったことを、
不意に思い出したくらい、やさしい夜明けでした。



会津駒慕情 その2_b0246693_11400169.jpg
なんと、紫がかったバラ色の霧が、見る見るうちに一面の茜色になりました。
そして、おお~!!霧の中に太陽が昇り始めました。


会津駒慕情 その2_b0246693_11422090.jpg


やがて、真ん丸になって、今度は上からかけて、見えなくなりました。
それは、とてもドラマチックで幻想的な光景でした。


会津駒慕情 その2_b0246693_11425807.jpg


霧が深いけれど、晴れてくれることを期待して、わたしたちは中門岳へと向かいました。
夜露に濡れた木道が滑ります。会津駒ヶ岳の巻道を進みますがますます霧が深くなっていきます。




会津駒慕情 その2_b0246693_11450285.jpg


ようやく中門岳への分岐まで辿り着きましたが、数メートル先も見えないほど深い霧


会津駒慕情 その2_b0246693_11440863.jpg



『これは、ホワイトアウトだね。』 『戻ろうか。』
わたしたちは、中門岳へと向かう稜線の方向をしばらく眺めて引き返しました。
「中門岳よ、さようなら。また来年、その先の風景を見に来ます。」
瞼を閉じれば、青く澄んだ水をたたえた中門池の水面が、斜めに傾いた中門岳の道標が浮かぶのでした。



会津駒慕情 その2_b0246693_11441287.jpg


振り向いた会津駒ヶ岳への稜線もミルク色の霧が漂うばかり…


会津駒慕情 その2_b0246693_11443559.jpg


わたしたちは、滑る木道を辿りつつ下山しました。登りより更に滑る!!気を付けなくちゃ。



会津駒慕情 その2_b0246693_11444833.jpg

やっと、平らな場所に降りてきて、ホッとしました。


会津駒慕情 その2_b0246693_11453411.jpg

わたしたちは、朝霧漂よう草紅葉を撮りつつ歩きます。
朝日に輝く草紅葉も撮りたかったけれど、夢幻の海原を航海しているような霧の海もいいなぁ。


会津駒慕情 その2_b0246693_11453926.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_11460640.jpg

『まだ、ピンクの実を付けたイワショウブがあるよ。』と、しょうこちゃんが見付けました。


会津駒慕情 その2_b0246693_11461047.jpg


霧に霞む光景が、いいなぁ。


会津駒慕情 その2_b0246693_11461538.jpg


岩の上の緑の苔が、ハッとするくらい瑞々しい。


会津駒慕情 その2_b0246693_11463519.jpg


昨日から何度も撮る木道、その先の光景が見たい。


会津駒慕情 その2_b0246693_11465909.jpg


駒の大池もぼんやりと、


会津駒慕情 その2_b0246693_11471974.jpg


さぁ、小屋に戻って朝食を作りましょう。
サンドイッチに、クリームチーズとアボガドのサラダ、温かいポタージュスープ。
そして、〆は、駒の姉さまが淹れてくれた、美味しい珈琲とお菓子をいただきました。
下界で待っている娘たちに、かわいい駒の小屋グッツのお土産を選びました。
ひだまり工房の、羊毛フェルトの小物たち、本当にかわいくて癒されます。


会津駒慕情 その2_b0246693_11472371.jpg


枯れてすがれた姿も味わい深いです。
この頃、歳のせいでしょうか?こういうのが妙に、心にしっくりくるのです^_^;


会津駒慕情 その2_b0246693_11475600.jpg


枯れてもなお、色を残すエゾリンドウ…大好きな花です。


会津駒慕情 その2_b0246693_11480273.jpg


少し霧が晴れ始め、若者たちが会津駒ケ岳を目指して登って行きました。



会津駒慕情 その2_b0246693_11482552.jpg


雲海も美しく見えて来ましたよ。


会津駒慕情 その2_b0246693_11483305.jpg

会津駒ケ岳がすっかり顔を見せました。
まるで、わたしたちを見送ってくれているかのようでした。



会津駒慕情 その2_b0246693_11490280.jpg



駒の小屋で働いていた民ちゃん作のテルテル坊主は、コザクラちゃん。かわいい~(*^_^*)


会津駒慕情 その2_b0246693_11492743.jpg


ホシガラスさん、さようなら。



会津駒慕情 その2_b0246693_11494170.jpg


クマさん、またね。



会津駒慕情 その2_b0246693_11494608.jpg

さぁ、名残惜しいけれど、兄さま、姉さまともお別れの時が来ました。
駒の姉さまとギュッとハグをして、記念写真を撮っていざ出発です。
何度も何度も振り返れば、姉さまも兄さまも、いつまでも手を振ってくれました。


会津駒慕情 その2_b0246693_12463364.jpg


降りていくと青く燧ケ岳が見えてきます。昨日も今日も逢えて良かったです。
キリンテへ続く稜線を眺め、来年はあの稜線を辿ってみたいと話します。
とても気持ちの良い道だそうです。来年こそは必ずね。燧ケ岳よさようなら。



会津駒慕情 その2_b0246693_12470123.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_12472726.jpg


エゾリンドウよ、さようなら、


会津駒慕情 その2_b0246693_12474505.jpg

あっ、若草みたいだね。6人が寄り添っているよ。


会津駒慕情 その2_b0246693_12480819.jpg


駒の小屋もここで見納めです。わたしは大きく手を振りました。


会津駒慕情 その2_b0246693_12481679.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_12483584.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_12483838.jpg


ダケカンバの白い幹が美しい。



会津駒慕情 その2_b0246693_12485635.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_12490517.jpg

色とりどりの紅葉が、この山肌を染める日も近いでしょう。


会津駒慕情 その2_b0246693_12492133.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_12491080.jpg



逞しい幹も、とても美しいです。



会津駒慕情 その2_b0246693_12493121.jpg


大きく張った根元もまた美しい。



会津駒慕情 その2_b0246693_12493985.jpg


水場に着いた辺り、ポツポツ降っていた雨は本降りになりました。


会津駒慕情 その2_b0246693_12495314.jpg

美しいブナです。


会津駒慕情 その2_b0246693_12495997.jpg


会津駒慕情 その2_b0246693_12501012.jpg

オオカメノキの赤い実


会津駒慕情 その2_b0246693_11500619.jpg


綺麗な紅葉でした。



会津駒慕情 その2_b0246693_11595984.jpg


やはり、マイヅルソウには立ち止まってしまいました。


会津駒慕情 その2_b0246693_12000507.jpg

ツクバネソウの漆黒の実にも立ち止まりました。


会津駒慕情 その2_b0246693_12001351.jpg

ミネカエデ、昨日は輝いていたね。


会津駒慕情 その2_b0246693_12002675.jpg



会津駒慕情 その2_b0246693_12003634.jpg


ドクツルタケ、真っ白で綺麗なんだけれどね。


会津駒慕情 その2_b0246693_12004246.jpg

真っ赤なキノコも可愛かったです。


会津駒慕情 その2_b0246693_12005107.jpg

この後、わたしたちはレインウェアを着て、カメラはザックに仕舞い下山に専念しました。
そして、滝沢登山口に着いた時は、お互い無事に登山を終えたことを喜び合いました。
山の神様、ありがとうございます。

燧の湯で、汗を流し、ひだまりちゃんが予約しておいてくれたやまびこ山荘さんへ。
とっても素敵なお父さんとお母さんが営む民宿です。
昨年の夏まで、民宿と昼間はお食事処として営業されていましたが、お客さまへのこころの籠ったサービスを目指して
昼のお食事処を締められました。わたしたちは昨年、その最後の営業日にお邪魔したのでした。
早朝到着のお客様のためにお布団を用意してあげたり、おもてなしの心は素晴らしいものでした。

今回、ひだまりちゃんがお願いしてくださって、特別にお昼を用意してくださいました。
山菜の天ぷらや、きのこ尽くしの煮物、とびきりおいしい裁ち蕎麦に、ハットウ、そしてきのこの炊き込みご飯
ひとつひとつ丁寧に調理されたお料理は、ほんのりと心が温まるようで、最高に美味しかったです。

やまびこ山荘さんご馳走様でした。


会津駒慕情 その2_b0246693_12005783.jpg


会津駒慕情 その2_b0246693_12013435.jpg


会津駒慕情 その2_b0246693_12011185.jpg

帰りにひだまりちゃんの家に寄り、はるかちゃんの車に乗せていただいて家路に着いたのでした。
お別れは、いつもさみしいもの、二日間行動を共にした分、寂しいです。

でも、また逢えるよね。今回の会津駒ケ岳登山も忘れられない大切な宝物となりました。
ひだまりちゃん、はるかちゃん、お世話になりました。本当にどうもありがとう(^^)



駒から帰って日が経つにつれ、あの山旅が懐かしくなっています。

後ろ髪引かれる思いで、でも、もう振り返らずに最後の草原を越えたね。
友の後姿を映したこの写真を見ていたら会津駒慕情と言う言葉が浮かびました。

会津駒ケ岳は、わたしのこころの山です。


会津駒慕情 その2_b0246693_12483087.jpg


by kazematikado | 2016-11-19 22:50 | 女子会


<< 過ぎし日の秋に (アケボノソウ)      会津駒慕情 その1 >>