2016年 11月 19日
駒の小屋での楽しみの一つは、満天の星空です。 真夜中に起き出して小屋の外に出れば、漆黒の夜空に無数の星が散りばめられています。 山頂から眺める星空は天空から自分の足下の大地の遙か下まで大パノラマで広がっているのです。 じっと見上げ、そして見下ろしていると無窮の天空が弧を描いているように感じます。 吸い込まれるような星明りは、瞬きながら、チラチラとさんざめく… 無音のはずなのに、星々のささやく声が聞こえるような気がするんです。 時おり長い尾を引いて流星が流れていきます。 “あっ…” 思わず吐息のようにつぶやいてしあわせな気持ちが胸いっぱいに広がります。 星降る夜に願いを込めて…闘病中の友がどうか、どうか、回復しますように。 この星空を見ていると、いつもこの歌を口づさみたくなるんです。 https://youtu.be/he6uTLQQkFc 冬の星座 木枯らし途絶えて さゆる空より 地上に降り敷く くすしき光よ ものみないこえる しじまの中に きらめき揺れつつ 星座はめぐる ほのぼの明かりて 流るる銀河 オリオン舞いたち スバルはさざめく 無窮をゆびさす 北斗の針と きらめき揺れつつ 星座はめぐる https://youtu.be/HHNEhT2Ckck 星めぐりの歌 あかいめだまの さそり ひろげた鷲の つばさ あをいめだまの 小いぬ、 ひかりのへびの とぐろ。 オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす、 アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。 大ぐまのあしを きたに 五つのばした ところ。 小熊のひたいの うへは そらのめぐりの めあて。 夕暮れ時に霧は晴れましたが、雲が暑く夕焼けは望めませんでした。 今夜の星空はどうだろう?と思っていると、駒の兄さまが、夜遅くに晴れそうだと言います。 『真夜中に、誰かがトイレに起きたら、きっと星が綺麗だよと言うから、そしたら外に出ればいいよ。』と、 秋田から来たという女性二人に話してました。『なるほど~♪』と彼女たちがうなづきます。 駒の兄さまは、ほんと、楽しい人です(^_-) 夏ならば外で夕飯の支度をするのですが、結構冷え込んでいるので今日は小屋の中で調理します。 一緒に居合わせた人たちと楽しい夕餉を囲み、語り合いました。 かなちゃん、ありがとうね。オシャレなメニューに、みなさん、驚いていました。 今回、食材はみんなはるかちゃんが調達して、刻んでおいてくれました。 はるかちゃん、ありがとうね。ほんと、美味しかった~!! お腹いっぱい食べて、ちょっぴりお酒も飲んで、楽しい語らいの内に山小屋の夜は更けていきます。 一緒に楽しんでくださる駒の姉さま、兄さまのおもてなしの心が、みんなを惹きつけてやまないのだと思います。 おふたりの真心は、この山小屋に灯るランプの明かりのようでもありました。 さて、真夜中に目を覚ましたのはわたしでした。今夜は女子部屋は満席です。 部屋の中は漆黒の闇、ライトを付けるのもはばかられるし、でも誰かの頭を踏んづけたら大変です。 迷っていたら、『姉ちゃま、こっちだよ。』とはるかちゃんを起こしてしまいました。 そして、外へ出てみたら満点の星☆、部屋に戻って「星が綺麗だよ!!」と言ったら、 みなさんむくっと起き出しました。ほんとだ、兄さまの言葉通りでした(笑) みなさん、空を見上げて歓声をあげます。『あっ!星が流れた!!』 『あっ!またひとつ!!』 『すごい!7つ目だよ!!』 そう、空のあちらこちらで流れ星が見れました。 星空撮影は、夕食の時、ひだまりちゃんに教えてもらいました。 三脚もないのに、上手に石ころを置いて撮る方法も教えてくれました。 ありがとう、ひだまりちゃん!!お蔭でわたしにも駒の大池に映る星影が撮れました。 天の川(最初の写真)も、オリオンのベルト(☆☆☆)も撮れました(*^_^*) そして、また、布団にもぐりこんで、再び、起き出しました。 東の空がだいぶ明るんできました。 たなびく雲が、柔らかな、柔らかな色合いに…水面にも微かなさざ波が立ちました。 東の空が茜色に染まり、そろそろ、生まれたての金色の太陽が顔を出しそうになった頃 にわかに雲が厚くなり、深い霧が出てきました。 雲海の上にも厚く垂れこめた雲があります。 『う~ん。。。今日は日の出は無理だな。』居合わせた人たちは小屋に戻っていかれました。 諦めきれなくてと言うか、この甘い色合いの霧の朝も好きだなぁと眺めていました。 こんな色の夜明けは、いつか尾瀬で見たことがありました。 あれは確か残雪の尾瀬ヶ原、光の川のように流れる下の大堀川の傍らで、燧ケ岳の肩から昇る朝日を見ていました。 尾瀬ヶ原を包む霧の粒子に暖かな太陽の光が取り込まれ内包したように淡く柔らかなバラ色に染まりました。 下の大堀川に並ぶ白樺も、清らかな流れの中で咲き始めた水芭蕉もまどろんでいるようだったことを、 不意に思い出したくらい、やさしい夜明けでした。 そして、おお~!!霧の中に太陽が昇り始めました。 やがて、真ん丸になって、今度は上からかけて、見えなくなりました。 それは、とてもドラマチックで幻想的な光景でした。 霧が深いけれど、晴れてくれることを期待して、わたしたちは中門岳へと向かいました。 夜露に濡れた木道が滑ります。会津駒ヶ岳の巻道を進みますがますます霧が深くなっていきます。 ようやく中門岳への分岐まで辿り着きましたが、数メートル先も見えないほど深い霧 『これは、ホワイトアウトだね。』 『戻ろうか。』 わたしたちは、中門岳へと向かう稜線の方向をしばらく眺めて引き返しました。 「中門岳よ、さようなら。また来年、その先の風景を見に来ます。」 瞼を閉じれば、青く澄んだ水をたたえた中門池の水面が、斜めに傾いた中門岳の道標が浮かぶのでした。 振り向いた会津駒ヶ岳への稜線もミルク色の霧が漂うばかり… わたしたちは、滑る木道を辿りつつ下山しました。登りより更に滑る!!気を付けなくちゃ。 やっと、平らな場所に降りてきて、ホッとしました。 わたしたちは、朝霧漂よう草紅葉を撮りつつ歩きます。 朝日に輝く草紅葉も撮りたかったけれど、夢幻の海原を航海しているような霧の海もいいなぁ。 『まだ、ピンクの実を付けたイワショウブがあるよ。』と、しょうこちゃんが見付けました。 霧に霞む光景が、いいなぁ。 岩の上の緑の苔が、ハッとするくらい瑞々しい。 昨日から何度も撮る木道、その先の光景が見たい。 駒の大池もぼんやりと、 さぁ、小屋に戻って朝食を作りましょう。 サンドイッチに、クリームチーズとアボガドのサラダ、温かいポタージュスープ。 そして、〆は、駒の姉さまが淹れてくれた、美味しい珈琲とお菓子をいただきました。 下界で待っている娘たちに、かわいい駒の小屋グッツのお土産を選びました。 ひだまり工房の、羊毛フェルトの小物たち、本当にかわいくて癒されます。 枯れてすがれた姿も味わい深いです。 この頃、歳のせいでしょうか?こういうのが妙に、心にしっくりくるのです^_^; 枯れてもなお、色を残すエゾリンドウ…大好きな花です。 少し霧が晴れ始め、若者たちが会津駒ケ岳を目指して登って行きました。 雲海も美しく見えて来ましたよ。 会津駒ケ岳がすっかり顔を見せました。 まるで、わたしたちを見送ってくれているかのようでした。 駒の小屋で働いていた民ちゃん作のテルテル坊主は、コザクラちゃん。かわいい~(*^_^*) ホシガラスさん、さようなら。 クマさん、またね。 さぁ、名残惜しいけれど、兄さま、姉さまともお別れの時が来ました。 駒の姉さまとギュッとハグをして、記念写真を撮っていざ出発です。 何度も何度も振り返れば、姉さまも兄さまも、いつまでも手を振ってくれました。 降りていくと青く燧ケ岳が見えてきます。昨日も今日も逢えて良かったです。 キリンテへ続く稜線を眺め、来年はあの稜線を辿ってみたいと話します。 とても気持ちの良い道だそうです。来年こそは必ずね。燧ケ岳よさようなら。 エゾリンドウよ、さようなら、 あっ、若草みたいだね。6人が寄り添っているよ。 駒の小屋もここで見納めです。わたしは大きく手を振りました。 ダケカンバの白い幹が美しい。 色とりどりの紅葉が、この山肌を染める日も近いでしょう。 逞しい幹も、とても美しいです。 大きく張った根元もまた美しい。 水場に着いた辺り、ポツポツ降っていた雨は本降りになりました。 美しいブナです。 オオカメノキの赤い実 綺麗な紅葉でした。 やはり、マイヅルソウには立ち止まってしまいました。 ツクバネソウの漆黒の実にも立ち止まりました。 ミネカエデ、昨日は輝いていたね。 ドクツルタケ、真っ白で綺麗なんだけれどね。 真っ赤なキノコも可愛かったです。 この後、わたしたちはレインウェアを着て、カメラはザックに仕舞い下山に専念しました。 そして、滝沢登山口に着いた時は、お互い無事に登山を終えたことを喜び合いました。 山の神様、ありがとうございます。 燧の湯で、汗を流し、ひだまりちゃんが予約しておいてくれたやまびこ山荘さんへ。 とっても素敵なお父さんとお母さんが営む民宿です。 昨年の夏まで、民宿と昼間はお食事処として営業されていましたが、お客さまへのこころの籠ったサービスを目指して 昼のお食事処を締められました。わたしたちは昨年、その最後の営業日にお邪魔したのでした。 早朝到着のお客様のためにお布団を用意してあげたり、おもてなしの心は素晴らしいものでした。 今回、ひだまりちゃんがお願いしてくださって、特別にお昼を用意してくださいました。 山菜の天ぷらや、きのこ尽くしの煮物、とびきりおいしい裁ち蕎麦に、ハットウ、そしてきのこの炊き込みご飯 ひとつひとつ丁寧に調理されたお料理は、ほんのりと心が温まるようで、最高に美味しかったです。 やまびこ山荘さんご馳走様でした。 帰りにひだまりちゃんの家に寄り、はるかちゃんの車に乗せていただいて家路に着いたのでした。 お別れは、いつもさみしいもの、二日間行動を共にした分、寂しいです。 でも、また逢えるよね。今回の会津駒ケ岳登山も忘れられない大切な宝物となりました。 ひだまりちゃん、はるかちゃん、お世話になりました。本当にどうもありがとう(^^) 駒から帰って日が経つにつれ、あの山旅が懐かしくなっています。 後ろ髪引かれる思いで、でも、もう振り返らずに最後の草原を越えたね。 友の後姿を映したこの写真を見ていたら会津駒慕情と言う言葉が浮かびました。 会津駒ケ岳は、わたしのこころの山です。
by kazematikado
| 2016-11-19 22:50
| 女子会
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