2017年 04月 08日
椿という花を、いつのころからか愛でる気持ちになりました。 それはたぶん、星野富弘さんの書かれた椿の絵に出会ってからかもしれません。 星野富弘さんは、中学校の教諭になりますが、クラブ活動の指導中、不慮の事故で頸髄を損傷され 手足の自由を失ってしまいます。前途有望な24歳の時でした。 全てに絶望され打ちのめされた入院生活の中で、やがて不屈の強い精神力とお母様の献身的な支えの元、 絵筆を口にくわえて字や絵を描き始められました。 そして9年後に退院され最初の作品展を開催されました。 富弘さんは、絵に詩を添えた詩画集、想い深いエッセイなどを出版され、群馬県みどり市の草木湖の畔りに 富広美術館を開館、作品を展示されています。 富弘さんの作品は、慈愛に満ちた美しく素晴らしいものです。わたしは最初、詩画集に出会い感動し、 美術館にも2度ほど足を運びました。 どの作品も素晴らしいのですが、特に落ち椿の絵に心惹かれたのでした。 落ちてもなお、美しい椿の花…いつか自分もこんなにも美しい落ち椿を写真に撮ってみたいと強く思いました。 ところが、写真となると、とても難しいのです。(わたしの腕が未熟という事もありますが…) もう一つの椿の思い出は、今から10年近く前の事、友人たちと高尾山にスミレを撮りに行った時の事です。 あまりのたくさんのスミレに夢中になり、足元ばかりを眺めつつ、何度もしゃがみこんでは写真を撮る。 そんなことを繰り返しながら山道を歩いていました。 ふと、落ち椿に気が付き見上げると、とても大きな椿の樹がたくさんの花をつけていて、しなやかに垂れ下がった枝には、 美しい真紅の花が揺れていました。 「ああ、撮りたい!」と強く思い数枚撮りましたが、望遠レンズに付け替える手間を惜しみました。 それまで、あまりにマイペースでスミレの写真を撮っていたので、仲間から大きく遅れてしまっていたのでした。 焦っていたわたしは、椿ならいつでも撮れるだろうと後ろ髪惹かれつつ、その場を後にしました。 その時、撮りそこなった椿の花が、ずっと心から離れず、いつも椿を見ると探すのですが、あの時の印象に出会えずにいました。 ところがです。昨年発行された、いがりまさし先生の写真集の中の藪椿の写真に出会ったとたんに、ビビビときました。 「ああ、これだ!!」と全ての記憶が甦ったのでした。 それからというもの、いがり先生のような椿の写真が撮りたいと、わたしの椿想いが続いているのです。 前置きが長くなりましたが、少しだけ想い出の中の椿に近づけたような気がしたので写真を載せてみます。 そして、落ち椿。こちらもなかなか美しい花に出会えないのです。 でも、この日は、今ぽとりと落ちたばかりのような美しい落ち椿に出逢えました。 そして、池の中に落ちた椿の花が、微かな風に、ゆっくりと回りながら流されていくのを目の当たりにしました。 ああ、いいなぁ…と思いつつ何枚も。(似たような写真の羅列で恐縮です) そして、一番気に入ったのが、この一枚でした。 でも、まだまだ、いがり先生の藪椿の一枝の写真には、到底及びません。 だから、これからもわたしの椿想いは続くと思います。
by kazematikado
| 2017-04-08 12:09
| 写真&写真教室
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